毎年9月以降、日本年金機構から「扶養親族等申告書」のご案内が届きます(※前年に電子申請した方やマイナポータル連携済みの方には、紙の封筒ではなくスマホ等にお知らせが届きます)。
「毎年届くけれど正直よくわからない」「紙の封筒が来ないから自分は関係ないの?」とお悩みの方もいるかもしれません。
この記事では、扶養親族等申告書を提出しないとどうなるのか、提出が必要な人・不要な人の見分け方、紙とスマホそれぞれの提出方法、そして期限を過ぎてしまった場合の対処法まで分かりやすく整理します。
1. 提出しないとどうなる?結論は「年金の手取りが減る可能性がある」
まずは、扶養親族等申告書を提出しなかった場合に何が起こるのかを整理しておきましょう。結論からいうと、年金の支給が止まることはありませんが、年金から天引きされる所得税が増え、手取りが減ってしまう可能性があります。
1.1 年金の支給そのものが止まるわけではない
「難しそうな書類を放置してしまった」という場合でも、それだけを理由に老齢年金の支給が止まることはありません。この点はまず安心してよいポイントです。
1.2 配偶者控除や障害者控除が反映されず、所得税が高くなる
年金から源泉徴収される所得税は、年金の支払額から社会保険料や各種控除額を差し引いたうえで税率をかけて計算されます。扶養親族等申告書を提出すると、配偶者控除や扶養控除、障害者控除などがこの計算に反映されますが、提出しなかった場合は、これらの控除がないものとして所得税が計算されてしまいます。
該当する控除の種類や人数が多いほど、提出の有無による税額の差は大きくなります。その結果、2カ月に一度振り込まれる年金の手取り額が、本来より少なくなってしまうのです。
2. あなたはどっち?「提出が必要な人」と「不要な人」の違い
扶養親族等申告書が届いても、実は全員が提出しなければならないわけではありません。ご自身がどちらに当てはまるか、以下で確認してみましょう。
2.1 提出が必要な人(出さないと損をする人)
次のいずれかに当てはまる人は、提出することで所得税が軽くなる可能性があります。
2.2 提出しなくても影響がない人(出さなくてよい人)
一方で、次に当てはまる人は、扶養親族等申告書を提出しなくても税額に差は生じません。
年金から源泉徴収される所得税には、提出の有無にかかわらず基礎控除が差し引かれる仕組みになっています。上記に当てはまり、配偶者控除や障害者控除などの対象がない人は、基礎控除だけが自動的に適用されるため、扶養親族等申告書を提出してもしなくても税額は変わりません。
なお、扶養親族等申告書は、住民税の課税対象となる可能性がある年金額の人に送られてくる書類です。目安として、令和9年分は65歳未満で年金額98万円以上、65歳以上で148万円以上の老齢年金を受け取っている人が対象となります。届いたからといって必ず提出が必要というわけではなく、あくまで配偶者控除などの対象があるかどうかで判断しましょう。
「扶養親族等申告書」提出が必要な人・不要な人の比較1/1

出所:日本年金機構「日本年金機構へ扶養親族等申告書を提出しなかった場合はどうなるのですか。」をもとにLIMO編集部作成
9月3日以降、対象となる方へはマイナポータル経由のお知らせが順次届き始めています。前年に電子申請で提出した方や、マイナポータルとねんきんネットを連携している方については、紙の用紙ではなくマイナポータルやメールでの案内に切り替わっています。
封書が届かないからといって対象外とは限らないため、心当たりのある方はスマートフォンでマイナポータルの通知を確認し、案内が来ていればそのまま電子申請で手続きを済ませてしまうのがおすすめです。
3. 書き方のポイントと注意すべき罠
提出が必要だとわかったら、次は書き方です。特に間違えやすい2つのポイントを確認しておきましょう。
3.1 マイナンバーの記入は必須項目、ただし未記載でも受理はされる
マイナンバー(個人番号)は、法令で定められた扶養親族等申告書の記載事項のため、できる限り記入することが求められています。ただし、記入がなかったというだけの理由で申告書が受理されなかったり、内容が無効になったりすることはありません。記入がない場合、日本年金機構から後日連絡が入ることがあるため、できるだけ正確に記入しておくとやり取りの手間を省けます。
3.2 「前年と変わっていない」人も、毎年の提出が欠かせない
前年に扶養親族等申告書を提出した人には、あらかじめ前年の申告内容が印字された用紙が送られてきます。内容に変更がなければ、「ア.前年から『変更なし』で申告します」という欄に丸をつけて氏名を書くだけで済む、簡単な仕組みが用意されています。
ただし、この場合であっても、申告書そのものを提出するという行為は毎年必要です。「去年から状況は変わっていないから今年は出さなくていい」と思い込んで放置してしまうと、その年は未提出として扱われ、控除が反映されないまま所得税が源泉徴収されてしまいます。
マイナンバーは記載が求められている項目ですが、書き忘れても申告書自体が無効になるわけではありません。とはいえ、正しく記入しておけば余計な問い合わせを避けられます。それより見落としがちなのは、「去年と何も変わっていないから今年は出さなくていい」という思い込みです。内容に変更がなくても、申告書そのものの提出は毎年必要ですので、届いたらまず封を開けて確認する習慣をつけておきましょう。
4. 期限が過ぎてしまった・出し忘れた場合の対処法
「気づいたら期限を過ぎていた」という場合でも、まだ対処する方法は残っています。
4.1 期限後でも、気づいた時点ですぐに提出を
提出期限を過ぎてしまった場合、一旦は控除がない状態で所得税が源泉徴収されます。しかし、期限を過ぎていても、気づいた時点ですみやかに提出すれば、さかのぼって所得税額を再計算してもらえます。「もう間に合わない」とあきらめず、まずは提出することが大切です。
4.2 確定申告をすれば、払いすぎた所得税は還付される
扶養親族等申告書を出し忘れたまま年が明けてしまった場合でも、翌年の確定申告で配偶者控除や扶養控除などを申告すれば、源泉徴収され過ぎていた所得税の還付を受けられます。扶養親族等申告書の提出は、確定申告の手間を省くための仕組みという位置づけでもあるため、出し忘れてしまっても控除そのものを受けられなくなるわけではありません。

提出期限を過ぎてしまった、あるいは出し忘れに気づいたという場合でも、慌てる必要はありません。日本年金機構への提出が遅れても、さかのぼって税額が再計算されますし、確定申告という最後の手段も用意されています。大切なのは、「もう手遅れだから」とあきらめて何もしないことではなく、気づいた時点で早めに動くことです。毎年秋に同じような書類が届くからこそ、一度仕組みを理解しておくと、来年以降も慌てずに対応できるようになります。
5. まとめ
配偶者控除や扶養控除、障害者控除などの対象になる家族がいる人は、扶養親族等申告書を期限内に提出することで、年金から天引きされる所得税を抑えられます。一方、対象になる家族がいない人は、提出しなくても税額は変わりません。
書類が届いたら、まず中身を確認し、自分が提出の必要な人かどうかを見極めましょう。もし提出を忘れてしまっても、気づいた時点ですぐに提出するか、翌年の確定申告で払いすぎた税金を取り戻すことができます。難しそうだからと開けずにしまい込まず、まずは確認するところから始めてみてください。
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