熊本地震を起こした「活断層」とは、その数は日本に2000以上…予知より備えが大切な理由 | きばいやんせ!鹿児島

熊本地震を起こした「活断層」とは、その数は日本に2000以上…予知より備えが大切な理由

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熊本地震は活断層によって引き起こされた(写真:AP/アフロ)

 7月28日に熊本県を襲った最大震度7の地震は、多くの人に「また熊本で」と強い衝撃を与えました。30人を超す方々の命が失われ、今も大勢の人が不自由な避難生活を強いられています。

 そうしたなか、気象庁は「今後も強い揺れを伴う地震が起きる可能性がある」として厳重な警戒を呼びかけています。今回の地震を引き起こした活断層が再び動く恐れがあるからです。では、「断層とは何か」「普通の地震と何が違うのか」と聞かれると、自信を持って説明できる人は意外に少ないかもしれません。

 活断層は、日本に住む私たちにとって決して特別な存在ではありません。むしろ、日本列島そのものを形づくってきた自然の営みの一つです。そして、阪神・淡路大震災や熊本地震、能登半島地震など、多くの内陸地震の背後にも活断層が存在していました。その活断層とは何か。やさしく解説します。

そもそも「活断層」とは何か

 日本列島は、4つのプレートが接する世界でも有数の地殻変動帯の上にあります。太平洋プレート、フィリピン海プレート(海のプレート)、北米プレート、ユーラシアプレート(大陸プレート)という4つのプレートが少しずつ動くたびに、地下の岩盤には大きな力が加わります。

 しかし、岩盤はゴムのようにどこまでも伸びるわけではありません。限界まで力が溜まると、一気に割れてずれ動きます。この瞬間に発生する揺れが地震であり、地下の岩盤が割れ、互いにズレた面のことを「断層」と呼びます。そのなかでも、将来再び動く可能性がある断層を「活断層」と呼びます。

 ただし、活断層は普段から動いているわけではありません。何千年、あるいは何万年もの間、ほとんど動かないものも少なくありません。しかし、プレートの動きなどによって地下では少しずつ岩盤に力が蓄えられ、ある瞬間に数メートルもずれることがあります。その「一瞬」が大地震です。これらの活断層は、地下深くに刻まれており、日常生活を送る私たちが普段、目にすることはありませんが、ひとたび動けば、都市の姿を一瞬で変えてしまうほどの力を秘めているのです。


図表:フロントライプレス作成

 日本で起きる地震には、大きく分けて2つのタイプがあります。

 1つは、東日本大震災や南海トラフ地震のような「プレート境界型地震」です。海底でプレート同士がぶつかる場所が震源となり、規模はマグニチュード8~9クラスに達することもあります。津波を伴うことが多く、広い範囲に被害が及ぶのが特徴です。

 もう1つが、「活断層型地震」です。

 こちらは大地の下にある活断層が動くことで発生します。規模は一般にマグニチュード6~7クラスですが、震源が浅いため、断層の近くでは非常に強い揺れになります。

 1995年の阪神・淡路大震災では兵庫県南部の野島断層が動き、神戸市などに甚大な被害をもたらしました。2016年の熊本地震では、布田川(ふたがわ)断層帯の区間が活動。今回の熊本地震でも、震源は布田川断層帯・日奈久(ひなく)断層帯とされています。

日本に2000以上ある活断層、東京都にも

 では、日本には活断層がどれくらいあるのでしょうか。

 気象庁などによると、日本の活断層は2000以上。さらに、地表に出ていないものや未発見のものも数多く存在すると考えられています。

 活断層というと、人里離れた山の中を走っているような印象を持つ人もいるかもしれません。しかし実際には、日本の人口が集中する都市部や、その周辺にも数多くの活断層が存在しています。

 そうした活断層をいくつか見ていきましょう。1つは、大阪市の直下を南北に延びる「上町断層帯」です。政府の地震調査研究推進本部は、この断層帯が活動した場合、大阪平野を中心に強い揺れが発生する可能性があるとしています。


図表:フロントライプレス作成

 東京都にも「立川断層帯」があり、福岡市には「警固(けご)断層帯」、金沢市周辺には「森本・富樫断層帯」があります。さらに、中部地方を縦断する「糸魚川―静岡構造線断層帯」や、西日本を横断する「中央構造線断層帯」は、日本を代表する大規模な活断層帯として知られています。

 もっとも、「活断層が近くにある=近いうちに大地震が起きる」という意味ではありません。活断層は数千年から数万年という長い周期で活動するものが多く、次に動く時期を正確に予測することは現在の科学ではできません。政府が公表している長期評価も、「今後30年以内に活動する確率」を示すものです。

重要インフラ建設に欠かせない活断層調査

 活動の時期を事前に予測できないとしても、活断層の調査は極めて重要です。「どこで大きな揺れが起こる可能性があるのか」を事前に把握することは、長期的な街づくりや重要施設、インフラの建設などに絶対欠かせません。

 活断層の位置が分かれば、行政はハザードマップを作成し、建物の耐震化や避難計画に役立てることができます。鉄道や高速道路、橋、上下水道などのインフラ整備でも、断層の位置は重要な判断材料になります。

 特に重要なのが原子力発電所の立地です。

 2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故以降、原子力規制委員会は原発の新しい規制基準を導入しました。その柱の1つが、「将来活動する可能性のある断層」の評価です。原子炉建屋や重要な安全設備の直下に、そのような断層があると判断された場合、原則として設置は認められません。

 この基準をめぐっては、敦賀原子力発電所2号機(福井県)の審査が大きな注目を集めました。原子力規制委員会は、原子炉建屋直下を通る断層が「将来活動する可能性を否定できない」と判断し、新規制基準に適合しないとの結論を示しました。一方、事業者側は判断を不服として追加調査や再審査を求めるなど、議論が続いています。

 また、石油コンビナートやダム、空港、半導体工場、データセンターなど、社会を支える重要施設でも、活断層の存在は立地や耐震設計を考えるうえで欠かせない要素となっています。

「どこが揺れやすいか」はかなり分かってきた

 では、活断層による地震は予知できるのでしょうか。

 残念ながら、現在の科学では「いつ、どこで、どの規模の地震が起きるか」を正確に予測することはできません。しかし、だからといって「何も分からない」わけではありません。

 航空レーザー測量や人工衛星による地殻変動の観測、地層の掘削調査など、技術の進歩によって活断層の位置や過去の活動履歴は少しずつ明らかになっています。国土地理院や産業技術総合研究所、政府の地震調査研究推進本部は、こうした成果を基に全国の活断層を調査し、長期評価や活断層図を公表しています。

 つまり、「いつ」は分からなくても、「どこが揺れやすいのか」は以前よりかなり詳しく分かるようになってきたのです。だからこそ、専門家は「予知よりも備えが重要」と繰り返し訴えているのです。

 自宅や職場が活断層の近くにあるかどうかは、自治体のハザードマップや国土地理院の地理院地図、産業技術総合研究所の活断層データベースなどで確認できます。家具の固定や非常用持ち出し袋の準備、家族との連絡方法の確認といった対策は、活断層の近くに住む人だけでなく、日本に暮らすすべての人にとって重要です。

 前述したように、日本列島は4つのプレートがぶつかり合う世界有数の地震国です。その結果として、全国各地に活断層が刻まれています。これは避けることのできない自然条件ですが、その存在を知り、調査を進め、耐震化や防災対策に生かすことはできます。

 1995年の阪神・淡路大震災は都市直下型地震の恐ろしさを、2016年の熊本地震は活断層が連続して動く可能性を、そして2024年の能登半島地震は、長く静かだった断層でも大きな被害をもたらし得ることを私たちに示しました。そして今回の熊本地震もまた、日本列島の地下には、普段は目に見えない「見えない傷跡」が無数に存在していることを改めて思い起こさせました。

 活断層を恐れるだけでは、防災にはつながりません。どこにあり、どのような仕組みで地震を起こすのかを知り、自分が暮らす地域のリスクを理解し、日頃から備えを積み重ねる。それこそが、被害を減らす最も現実的な方法と言えるでしょう。

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