中国進出の日本企業が過去最少に 〜2年間で約3000社減った理由とは | きばいやんせ!鹿児島

中国進出の日本企業が過去最少に 〜2年間で約3000社減った理由とは

帝国データバンクが公表した「日本企業の中国進出動向調査(2026年)」によると、中国に進出している日本企業は1万118社となり、前回調査(2024年:1万3034社)からわずか2年間で2916社(22.4%)減少したことが明らかになった。

これはピークだった2012年の1万4394社から約3割の減少であり、2010年の統計開始以来で過去最少となった。

新規参入が1,221社にとどまる一方、「撤退・所在不明」は4,137社と過去最多にのぼっており、日本企業の中国ビジネスが拡大局面から再編局面へ移っていることが鮮明になっている。

かつて日本企業にとって中国は、安価な労働力を生かした「世界の工場」であると同時に、成長を続ける巨大市場でもあった。しかし現在、その位置付けは大きく変わり始めている。

なぜこれほど多くの日本企業が中国での事業を見直しているのだろうか。

高まる中国ビジネスのリスク

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画像 : 上海 イメージ

進出企業の減少を招いている要因の一つが、中国ビジネスをめぐる「予見可能性」の低下である。

改正反スパイ法やレアアースなどの輸出制限をはじめ、企業が警戒すべきカントリーリスクは高まっている。

さらに、不動産不況などによる中国経済の低迷に加え、中国企業との厳しい価格競争も日本企業を取り巻く環境を難しくしている。

実際、JETROが在中国日系企業を対象に行った2025年度調査では、最大の競争相手として中国企業を挙げた企業が約4分の3に達した。

また、経営上の問題として最も多く挙げられたのは「従業員の賃金上昇」であり、新規顧客の開拓や中国企業との競争に苦戦する企業も少なくない。

かつての中国は、安いコストで製品をつくり、経済成長とともに拡大する市場へ販売するという大きな魅力を持っていたが、現在はコスト上昇と市場競争の激化に同時に対応しなければならない。

こうした環境の変化を受け、中国進出企業の中でも中小企業の割合は低下しており、反対に中堅・大企業の比率が上昇している。

単純に日本企業が中国から姿を消しているだけではなく、中国で事業を続けられる企業の顔ぶれそのものが変わり始めているのである。

「安価な工場」としての中国に起きた変化

画像:ベトナムのVGP工業団地 CC BY-SA 4.0

もう一つ大きいのが、低コストの製造拠点として中国を利用するメリットが以前ほど大きくなくなったことだ。

帝国データバンクの調査では、2024年から2026年にかけて中国に進出する製造業が5139社から4206社へ減少した。
なかでも人件費の影響を受けやすい労働集約型の分野で減少が目立っている。

人件費の上昇などを背景に、中国だけに生産を集中させるのではなく、中国以外のアジアにも拠点を設ける「チャイナ・プラス・ワン」を進める企業も増えてきた。

ただし、ここで注意したいのは「中国が製造拠点として使えなくなった」という話ではないことだ。

2026年の帝国データバンクの調査でも、中国を最も重視する生産拠点とした企業は43.7%で、現在も各国の中で最多だった。
中国には長年かけて形成された製造インフラや部材調達網、産業集積があり、これらを短期間で他国へ移すことは容易ではない。

そのため実際に進んでいるのは、中国の工場をすべて閉鎖して他国へ移すような単純な「撤退」ではなく、中国での生産を維持しながら別の国にも拠点を持ち、一つの国で問題が起きた際の影響を抑える動きである。

中国を「安価な工場」として利用する時代から、必要な機能を残しつつ依存度を下げる時代へと、企業の戦略が変わってきたのである。

日本企業の「中国離れ」は今後も続くのか

画像:日本企業が最も重視する海外生産拠点の推移 帝国データバンク

では、日本企業の「中国離れ」は今後さらに進むのだろうか。

今回の帝国データバンクの調査では、新規参入が1,221社にとどまり、前回調査からの新規参入数としては過去最少となった。

米中対立などの地政学リスクが続く中、中国への過度な依存を避けようとする動きは今後も続く可能性が高い。

帝国データバンクも、中長期的には中国への依存度を引き下げるため、現地法人の統合や閉鎖を伴う撤退が増える可能性を指摘している。

一方で、中国からの「総撤退」が進んでいるわけではない。

JETROの2025年度調査では、今後1~2年の中国事業について「現状維持」と答えた日系企業が64.3%と最も多く、「縮小・第三国への移転・撤退」は14.4%だった。
また、2025年の営業利益を黒字と見込む企業も63.2%に達している。

つまり中国を取り巻く環境が厳しくなったからといって、多くの企業が一斉に撤退しようとしているわけではないのである。

中国は今も巨大な市場であり、製造拠点としても日本企業にとって重要な存在だが、その一方で以前のように中国だけに大きく依存することのリスクも無視できなくなった。

「安価な工場」として中国に依存する時代から、中国という巨大市場や産業集積を活用しながら、同時にリスクを分散する時代へ。

日本企業の中国戦略は今、大きな転換点を迎えている。

参考:
帝国データバンク「日本企業の『中国進出』動向調査(2026年)」2026年
日本貿易振興機構(JETRO)「2025年度 海外進出日系企業実態調査 中国編」2026年
経済産業省「令和6年版 通商白書」2024年 ほか
文 / エックスレバン 校正 / 草の実堂編集部

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