ダラダラ歩きは時間の無駄?血管を若返らせるには「歩数」より「歩幅」が重要な医学的理由 | きばいやんせ!鹿児島

ダラダラ歩きは時間の無駄?血管を若返らせるには「歩数」より「歩幅」が重要な医学的理由

image

適度にしっかり歩くことで、「血管の若返り」に近い効果が期待できるといいます。どんな歩き方が好ましいのか、医師が解説します。

「たくさん歩けば健康」は半分正解、半分間違い

健康のためにウォーキングを始める方は本当に増えました。

ただ外来で意外と多いのが、
「毎日かなり歩いているのに、体力がつかない」
「健康診断の数値があまり改善しない」
という相談です。

実際に歩き方を聞いてみると、かなりゆっくりダラダラ歩きになっているケースがあります。

もちろん、まったく歩かないよりは良いです。
ただ、「歩数だけ」を増やしても、血管や心肺機能への刺激が弱いことがあるんです。

最近は、「何歩歩くか」より、「どう歩くか」が重要だと考えられるようになってきています。

実は「歩幅」がかなり大事

ウォーキングで特に重要なのが、「歩幅」です。

歩幅が狭いままチョコチョコ歩くと、運動強度があまり上がりません。
心拍数も上がりにくく、血流改善効果も限定的になりやすい。

歩幅photo/Adobe Stock

一方で、少し大股を意識して歩くと、下半身の筋肉をしっかり使います。

特に、
・太もも
・お尻
・ふくらはぎ
などの大きな筋肉が働く。

すると血流が良くなり、血管への適度な刺激にもつながります。

血管は「適度な刺激」で若さを保つ

血管というのは、ただ存在しているだけではありません。

実は、血流による刺激を受けながら柔軟性を維持しています。

歩行などの有酸素運動で血流が増えると、血管内皮から、「一酸化窒素」という物質が出やすくなります。
これは血管を広げ、柔らかく保つ働きがあります。

つまり、適度にしっかり歩くことで、「血管の若返り」に近い効果が期待できるんです。

ケース①「毎日1万歩なのに数値が改善しない」60代男性

60代男性で、毎日かなり歩いている方がいました。
歩数計では毎日1万歩以上。

本人も「かなり頑張っています」と話されていました。
ただ、実際には散歩に近いペースで、歩幅もかなり狭かった。

その後、歩幅を少し広げ、「やや息が上がる程度」の速度を意識してもらったところ、
・血圧
・体重
・疲れにくさ
が徐々に改善していきました。

ケース②「買い物歩きだけでは筋力が落ちていた」70代女性

70代女性で、「毎日スーパーまで歩いているから運動不足ではないと思う」という方もいました。
ただ、実際には歩幅がかなり小さく、歩行速度も低下。

結果として、下肢筋力がかなり落ちていました。

高齢者では特に、「歩幅の縮小」が老化サインとして出ることがあります。

歩幅が狭くなると何が起きる?

歩幅が小さい状態が続くと、下半身の筋肉を十分使えなくなります。

すると、
・筋力低下
・転倒リスク増加
・血流低下
につながりやすい。

さらに活動量も低下し、結果として動脈硬化リスクが高まることもあります。

「ゆっくり安全」だけでは不十分なこともある

もちろん、高齢者や持病がある方では無理は禁物です。

ただ一方で、「とにかくゆっくり歩けばいい」というわけでもありません。

特に健康維持を目的とするなら、少し心拍数が上がる程度の刺激は重要です。

会話はできるけれど、少し息が弾む。

そのくらいが一つの目安になります。

歩幅を広げるだけで「姿勢」も変わる

実は歩幅を意識すると、自然と姿勢も改善しやすくなります。

歩幅photo/Adobe Stock

猫背のまま小刻みに歩くより、背筋を伸ばして少し前へ踏み出す。

それだけでも使う筋肉が変わります。

特に、お尻や太ももの筋肉は「血流ポンプ」としてかなり重要です。

「歩数ノルマ」だけでは健康になれない

最近はスマホで歩数管理ができるため、「何歩歩いたか」に意識が向きやすい時代です。

ただ実際には、
・歩く速度
・歩幅
・姿勢
・継続性

こうした要素のほうが大事なことも多いんです。

例えば、スマホを見ながらダラダラ1万歩歩く。
それより、20〜30分でもしっかり歩くほうが体への刺激は大きいことがあります。

医師として感じること

外来でよく感じるのは、「運動量」と「運動の質」は別だということです。

長時間歩いていても、体に十分な刺激が入っていないケースは意外と多い。

逆に、短時間でもしっかり歩けている人は、血圧や体力が安定している印象があります。

血管を守るのは「適度な負荷」

血管も筋肉も、使わなければ衰えます。
ただし、過剰な負荷も良くありません。

大切なのは、「ちょうどいい刺激」を継続することです。

その意味では、「何歩歩いたか」より、「どんな歩き方をしたか」。
こちらのほうが、実は重要かもしれません。

今回の記事が少しでも参考になれば幸いです。

コメント