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ソニーは、テレビを軸としたホームエンタテインメント領域で、中国・TCLと戦略的提携を行う。撮影:小林優多郎
ソニーは、テレビを軸としたホームエンタテインメント領域において、中国・TCLとの間で戦略的提携を行うと発表した。2027年4月を目標に合弁会社を設立、テレビ関連の開発から製造、販売までを合弁会社へと移行し、ソニー本体の事業からは分離する。
日本の家電を代表する存在であった「ソニー」がテレビ事業の独自展開を止めることに驚きを感じる人々もいるかもしれない。
だが、現在のソニーグループのビジネス形態や「テレビ」という製品の置かれた特性を考えると、この流れはある種の必然であり「ついにその日が」という印象が強い。
なぜソニーはテレビ事業(BRAVIA、ブラビア)を分離することになるのか、そして、そのことは「ソニーグループの家電事業」にとってどのような意味を持つのか、解説する。
改革の中で「テレビ事業改善」は待ったなしだった
現在のソニーグループは事業ごとに会社をわけ、それぞれの領域で責任をもった経営を行うコングロマリット型になっている。
ソニーの祖業である、いわゆる「家電」事業はソニー株式会社が担当しており、グループ内では「エンタテインメント・テクノロジー&サービス(ET&S)」分野と呼称されている。
以下は、2025年度第2四半期決算における各分野の業績だ。
2025年度第2四半期決算における各分野の業績。ET&S分野は売上で全体の18%を占めるが、売上減少も大きい。出典:ソニーグループ
グループ全体の売上高で見た場合、ET&S分野の比率は約18%、営業利益で見ると約14%。規模だけで言えば小さな割合ではなく、実は映画事業よりも大きい(2025年度第2四半期決算資料より算出)。
一方、ET&S分野の売上高は前年同期比で440億円と大幅に減少しており、グループ全体の成長に大きな影響が出ている。
そして、売上高と利益が減少した要因として挙げられたのが「ディスプレイにおける販売台数の減少」、つまり主にテレビ事業の不振だ。
同じく2025年度第2四半期決算より。営業利益減少幅は小さいものの、ディスプレイの販売台数減少が響く。出典:ソニーグループ
以下は、ソニーが2025年6月に開いた、事業別の方針説明会での資料で示したものだ。
ET&S事業のポートフォリオ。出典:ソニーグループ
テレビとスマートフォンは構造変革が必要な領域と規定されている。出典:ソニーグループ
ET&S分野はテレビだけを指すわけではない。カメラや業務用ディスプレイ、サウンドにスマートフォンなど、絵と音の関わる様々な機器の領域を包含する、幅広い事業領域を持つ。
近年は、スポーツでの自動判定に使われる「ホークアイ」技術や3Dデータを活用した新事業なども含む。
そして、その中で特に「構造変革や転換が必要」とされていたのが、テレビとスマートフォンの事業だった。
この2事業はソニーグループの中で常に大きな課題として挙げられており、改革が急務だった。
シンプルに言えば、広い意味で「エレクトロニクス製品」を作るソニー、ひいてはソニーグループの中で、堅調な成長を阻害するリスク要因がテレビ関連事業だということだ。
ソニーにおいてテレビ事業の分離は、何度も取り沙汰された話ではあるのだが、その構造改革において、ついに大きな決断が下されたことになる。
テレビは「売れない製品」ではない
では、なぜテレビ事業はそれほどまでに厳しいのだろうか?
「日本の家電」を見た時に、テレビ事業が堅調であり、事業体がそのまま存続しているところは今や少ない。
東芝のテレビ事業(REGZA、レグザ)は中国・ハイセンスに売却されて「TVS REGZA」として残り、シャープ(AQUOS、アクオス)も同社自体が台湾・フォックスコングループの傘下に入っている。
パナソニック(VIERA、ビエラ)は一時テレビ事業分離が取り沙汰されたが、今のところはグループ内での展開となっている。だが、テレビ向けOSは自社開発から撤退し、アマゾンの開発した「Fire OS」を採用している。
ただ、これらのことから「テレビが売れないから事業が厳しい」と考えるのは、必ずしも正しくない。



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