明治時代初期に1年余り存在した「都城県」で、現在の知事にあたる参事を務めた薩摩藩出身の 桂久武かつらひさたけ (1830~77年)の県を治める三大方針を記した文書などが、宮崎県都城市の都城歴史資料館で開催中の特別展で公開されている。桂が学業奨励や人材育成を掲げたことにちなみ、市は方針が示された2月18日を「都城教育の日」と定めてその精神を受け継いでおり、地元のルーツをたどる貴重な史料が並ぶ。(杉尾毅)
桂は幕末に薩摩藩家老として盟友の西郷隆盛らを支え、藩論を倒幕でまとめるなどした。旧幕府側と戦った1868~69年の戊辰戦争では武器弾薬の調達など後方支援を担った。71年の廃藩置県後に都城県が設置されると参事に就任。同県は大淀川以南から鹿児島県・大隅半島にかけてを県域とし、現在の都城市庁舎の所在地に県庁を置いたが、73年に廃県された。桂はその後官職に就かず、77年の西南戦争では薩軍に投じ、敗れて自刃した西郷と運命を共にした。
桂の県を治める三大方針などが記された文書
公開中の72年2月18日にあたる日付がある文書は、「朝旨(朝廷の命令など)御制度に 戻もと るべからざる 事こと 」「学業を勉励し人材を教育すべき事」「民事を勧興し県内を富ますべき事」などと、朝旨の順守や学業奨励、産業の振興などについて明記。これらは「今日の急務」で「命意貫徹」を住民に求めた。桂はとりわけ文教政策を重視し、学校建設などに取り組んだという。会場には「都城縣印」と彫られたツゲ製の印章も展示されている。
桂久武の肖像写真(都城市教育委員会提供)
特別展を担当する市教育委員会文化財課の担当者は「文書は都城が近代を歩む出発点の一つ」と評価する。市は桂が学業奨励などを掲げたことにちなみ、2016年に2月18日を「都城教育の日」と定め、毎年教育関係の講演会を開くなどしている。
「都城縣印」と彫られた印章
都城市の市名は、島津家の分家の北郷氏(後の都城島津家)が1375年、現在の都城歴史資料館がある場所に山城「都城」を築いたことに由来し、特別展ではこうした市のルーツを解き明かす関連史料を公開している。5月24日までで月曜休館。一般220円、高校生160円、小中学生110円。
問い合わせは同館(0986・25・8011)へ。


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