腎臓病(1)「人工透析」と言われたら…「する・しない」を決める前に医師に聞くべきこと | きばいやんせ!鹿児島

腎臓病(1)「人工透析」と言われたら…「する・しない」を決める前に医師に聞くべきこと

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「人工透析です」と言われたら──。「大切なのは、すぐに『する/しない』を決めないこと。一度出した結論も、病状や本人の気持ちの変化に応じて見直せる、ということを知っておくのが大切」と言うのは、腎臓病・糖尿病・甲状腺疾患を専門とする「浦安ツバメクリニック」の坂井正弘院長だ。話を聞いた。

■成人の5人に1人が慢性腎臓病
人工透析は、腎機能が本来の役割を果たせなくなった「末期腎不全」の主な治療法の一つ。末期腎不全の治療には、他者(ドナー)の健康な腎臓を移植する腎移植もある。慢性腎臓病が進行した最終段階が末期腎不全だが、慢性腎臓病が近年の推計では成人の約5人に1人、約2000万人にのぼるともされていることを考えると、決して他人事ではない。
「腎機能低下の要因には加齢も入っています。糖尿病や高血圧などがあればより低下しやすい。末期腎不全であっても、最初は症状がほぼありません。高齢者では何らかの症状で受診した時、突然『人工透析です』と言われるケースも珍しくありません」(坂井院長=以下同)
人工透析は単に寿命を延ばすだけでなく、息苦しさ・だるさ・食欲低下・むくみなどの苦痛を軽くし、生活を支える治療でもある。ただし高齢者では逆にQOL(生活の質)の低下や苦痛を招く場合も少なくないという。
「海外の観察研究では、80歳以上の高齢者、フレイルが強い方、重い併存疾患がある方では、透析による生命予後の上乗せが必ずしも大きくない可能性を示す報告もあります。ただし、年齢だけで一律に判断できるものではなく、病状、生活機能、本人の希望を踏まえて個別に考える必要があります。透析を始める場合と始めない場合の今後起こりうることを確認すべきです」
人工透析には「血液透析」と「腹膜透析」がある。血液透析が専用機器を介して老廃物などを取り除くのに対し、腹膜透析はお腹の中の「腹膜」を利用して老廃物などを濾過する。
「血液透析は透析クリニックなどに週3回ほど通い、1回4時間程度かけて行われます。それに対し、腹膜透析は自宅で行います。できるだけ自宅で過ごしたい人、生活の自立性を重視したい人には腹膜透析が向いているかもしれません」
日本では人工透析の約97%が血液透析で、腹膜透析はわずか約3%。腎移植はドナーがいないと成り立たない。施設や地域によっては、腹膜透析や腎移植について十分な情報提供を受ける機会が限られることもある。本来は腎移植や腹膜透析など腎代替療法全般について説明を受けたうえで検討することが望ましいが、血液透析を前提とした説明を受けることもあるようだ。納得いく回答が得られない場合はセカンドオピニオンも一つの手だ。
患者の中には、見聞きしてきた情報から血液透析に抵抗感を覚えている人もいるという。
「期限付きの血液透析という選択肢もあります。当初は難色を示していたけれど『試してみたら結構平気だった』とそのまま継続される患者さんもいます」

「やりたくない」ときの新しい選択肢

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一方で、「それでもやはり人工透析はやりたくない」という人もいる。近年注目されている選択肢が、透析を行わずに腎不全に伴う症状や合併症を管理し、生活の質を保つことを目指す「保存的腎臓療法」だ。
「塩分、タンパク質、カリウムを制限する食事療法、可能な限り腎臓病の進行を防ぎ、末期腎不全の症状を抑える薬物療法、生活習慣の改善などを行います。病状の進行に伴い出てくる呼吸困難、痛みのコントロール、精神的なケアも積極的に行います。緩和ケアと重なる部分もありますが、保存的腎臓療法は、可能な範囲での腎臓病進行予防、合併症管理、症状緩和、生活支援を含む、より広い治療方針です」
生命予後は、腎機能だけでなく、尿量、心不全、栄養状態、感染症、フレイル、がんなどの併存疾患によって大きく異なる。透析を行わない場合でも、保存的腎臓療法として症状や合併症に対応することで、月単位から年単位の経過をたどる人もいる。一方で、透析は多くの患者で生命予後を延ばしうる治療だが、高齢でフレイルが強い人や重い併存疾患がある人では、その利益と負担を個別に考える必要がある。
「現時点では、高齢だから人工透析の必要はないと医療者側が判断できるほどのエビデンスはありません。しかし、患者さんの病状や希望によっては、人工透析より保存的腎臓療法が向いている場合もあります。そして必ず覚えておいていただきたいのが、いったん出した結論も病状や本人の気持ちの変化に応じて見直せるということです。保存的腎臓療法を始めても、途中で人工透析への切り替えを検討できるのです(病状などで人工透析が無理な場合もある)」
血液透析、腹膜透析、腎移植、保存的腎臓療法──。選択肢が複数あるからこそ、診察室での「確認」が重要になる。坂井院長が「必ず聞いてほしい」と挙げる8つが〈表〉だ。何を大切にして、どの治療をどう使うか。それが重要だ。

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