70代になると「3人にひとり」が慢性腎臓病→透析を防ぐ「腎臓が悪くなくても絶対やるべき」専門医オススメの運動 | きばいやんせ!鹿児島

70代になると「3人にひとり」が慢性腎臓病→透析を防ぐ「腎臓が悪くなくても絶対やるべき」専門医オススメの運動

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70代に入り、活動レベルが落ちて運動機能が低下してくる人には「縄跳び」がおすすめです(写真:ララ/PIXTA)

昔といまを比べると、腎臓病の常識は大きく変わりました。たとえば、以前は「腎臓が弱い人は運動なんかしないで安静にしているほうがいい」「腎臓病になったら非常に厳しい食事制限に耐えなくてはならない」「腎臓病はいったん悪くしたらよくならない」といったことが当たり前とされていました。

しかし、これらはすべてウソ。いまは腎臓病の人も適度な運動をするほうがいいとされていますし、食事もちょっとした工夫で普通の人と変わらないものが食べられるようになっています。もちろん「腎臓病はよくならない」というのも誤りで、「腎臓リハビリ」というメソッドを実行すれば、着実に進行を抑えたり病状を回復させたりできるようになっているのです。

この「腎臓リハビリ」のメソッドの提唱者として、従来の腎臓治療の“誤った常識”を大きく変えてきたのが上月正博・東北大学名誉教授。上月教授は、新著『腎臓大復活』の中で、腎機能を強化して人生をよみがえらせていくためのノウハウを惜しみなく紹介しています。

以下では、その上月教授が「腎臓寿命を延ばすための年代別ケア」について解説します。

70代は元気でも「腎臓リハビリ」すべし

70代になると、「3人にひとり」が慢性腎臓病の診断を下されるようになります。

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ただ、たとえその「3人にひとり」に該当していなかったとしても、70代になれば誰しも腎機能低下が相当進んでしまっているのは確実です。「70代はもうみんな慢性腎臓病になっている」というくらいに考えておくほうがいいでしょう。

なにしろ、70代になると、腎臓のネフロン数が20代のときの3分の1程度にまで減るとされているのです。つまり、70代以降はこの「残りの3分の1」を大切に使っていかなくてはならないわけで、残り少ないネフロンをできるだけ長持ちさせるためにも、日々ケアを怠らず腎臓をいたわっていかなくてはなりません

だから、70代になったなら、もう四の五の言わず、誰もが「腎臓リハビリ」に本格的に取り組むべきだと思います。とくに、すでに慢性腎臓病の診断を下されている人は、もう待ったなしで腎臓リハビリに励むようにすべき。G3bやG4くらいまでステージが進んでしまっていたとしても、腎臓リハビリを行えば、透析導入をかなり先延ばしにすることができるはずです。

また、たとえ慢性腎臓病の診断を下されていないとしても、糖尿病や高血圧があるならできるだけ早く腎臓リハビリを始めるべきです。ここで始めておけば、腎機能の衰えをスローペースにしてネフロンを長持ちさせていくことができます。

逆に、ここで腎臓ケアに本腰を入れておかないと、いずれ透析になるのは避けられないというくらいに考えておくといいでしょう。

もっとも、70代に入ると活動レベルが落ちて運動機能が低下してくる人も多いので、なかには腎臓リハビリの運動療法で紹介している「らくらく筋トレ」や「腎活性ウォーキング」を行うのがきつくなってくる場合もあるかもしれません。

骨を丈夫にするオススメの運動

そういう場合に、私がよくおすすめしている運動が「縄跳び」です。

縄跳びがすぐれているのは、骨を丈夫にしてくれる点です。縄跳びのように一回一回跳ぶごとに下半身にずしっと体重がかかる運動は、その体重負荷によって骨を丈夫にする効果が期待できるんですね。

みなさんご存じのように、70代に入ると骨粗しょう症が進んで骨がもろくなってきます

平衡感覚やバランス感覚も衰えてくるので、無理をして動きの大きな運動をすると、体のバランスを崩し、転倒した拍子に骨折してしまう恐れが出てきます。しかも、骨粗しょう症が進むと、骨からリン酸カルシウムが溶け出して血液中に流出することになるため、腎機能に害を及ぼすリンが増えてしまうようになるのです。ですから、縄跳びで骨を丈夫にすることは、「転倒骨折を防ぐ」「リンの流出を防ぐ」というふたつの点で高齢者におすすめなわけです。

縄跳びであれば、気軽にできて継続しやすいはず。自分のできる範囲のリズムや回数で構いませんので、70代に入った方はトライしてみてはいかがでしょうか。

それと、70代に入った方々に心して注意していただきたいのが「食事量を落とさない」ということです。腎臓リハビリの食事の章でも述べましたが、70代に入って食事の量を落としてしまうと、筋肉量が低下して、それが体力や活動レベルを大きく引き下げることにつながっていきがちです。そうなると、血液を回す力が落ちて腎機能の低下も進んでしまいますし、何よりもサルコペニアやフレイルによって一気呵成(いっきかせい)に衰えが進むようになってしまいます。ですから、くれぐれも食事を抜いたり食べる量を減らしたりしないようにしてください。

とにかく、食事や運動で力をつけるのは、70代がラストチャンスだと思ったほうがいいでしょう。

80代以降は「動いて食べる」を長持ちさせられるか

80代になると、もうなんとか機能を維持するのが精一杯で、力をつけることはできなくなってきます。だから、70代のうちにできるだけの力を蓄えて、80代以降に備えていくようにすべきです。

そうした日々の心得が、ひいては腎臓寿命や健康寿命を延ばすことへつながっていくのです。

80代、90代になると、腎機能がグッと低下して、いつ腎不全に陥ってもおかしくないという状態が「普通」となります。

実際、80代では2人にひとりが慢性腎臓病と診断されるようになり、腎不全となって透析生活に移行する人も増えてきます。ここまで歳を重ねるとネフロンも残り数わずかとなってくるため、腎臓の濾過機能が働かなくなるタイムリミットが近づいてくるのはもう仕方のないことなのです。

ですから、80代を過ぎたなら、もう誰しも腎不全や透析を覚悟しておくほうがいいのかもしれません。腎臓の老化は、その人の気持ちや体の衰えの状態よりも一歩先に進んでいるもの。体はわりと元気だったとしても、腎臓だけはすでに「終末期」に突入しているというくらいに考えておくべきでしょう。

透析でも「いつも通り」に近い生活を送れる

しかし、たとえ医師から腎不全や透析導入を言い渡されたとしても、そこで人生が終わったかのように悲嘆に暮れることはありません

なぜなら、近年は透析に移行しても、透析前とたいして変わらない「いつも通りの生活」を送れるようになってきているからです。

先にも述べましたが、いまは腎臓リハビリを導入する透析機関も増えて、人工透析(血液透析や腹膜透析)を受けている患者さんのQOLは飛躍的に向上するようになってきています。

70代、80代で透析が必要になっても仕事を続けている人もいますし、趣味や習い事に打ち込んでいる人もたくさんいます。とても多くの方々が、透析移行をひとつの「通過点」と捉え、透析しながら送る毎日を「第二の人生のスタート」のように位置づけて、前向きに人生を送ってらっしゃるのです。

もちろん、「認知症になったら透析生活を続けられるのか」とか「足腰が衰えて透析に通えなくなったらどうなるんだ」とか、高齢者ならではの不安要素もあるのは事実です。

でも、少なくとも、「ひと昔前の人工透析」と「いま行われている(腎臓リハビリを導入した)人工透析」とでは、まったく別物というくらいに性質が変わってきているということは、頭に入れておいたほうがいいでしょう。

とにかく、人工透析できれいな血液を全身に回せるようになれば、たとえ腎臓の寿命が尽きたとしても、その先の人生へコマを進めて「いつも通りの生活」を営んでいくことができるのです。別に人工透析を勧めているわけではありませんが、こういう道が整備されてきたことにより、人生の最終盤を生きるうえでの選択肢が増えたのは間違いないと言えるでしょう。

そして、このように腎臓の寿命が尽きた後も普通に生きられる道が整備されてきたからこそ、高齢者は「動く機能」や「食べる機能」を普段からしっかりキープしておくようにすべきだと私は思うのです。

できるうちから「地力」をつけておく

70代、80代、90代と歳を重ねるにつれ、高齢者の健康の目標は「動く機能」や「食べる機能」をどれだけ長くキープできるかという点に絞られてくることになります。

しかし、その目標を目指す高齢者の前にはいろいろなリスクが立ち塞がっています。たとえば、転んで骨折でもしてしまったら、そのままベッドから離れられなくなる可能性もありますし、食べる量を減らしてしまったら、筋肉量が減ってサルコペニアやフレイルを進ませてしまう可能性もあります。それに、噛んだり飲み込んだりする機能が衰えてしまったら、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)のリスクが高まって食べ物を口から食べられなくなる可能性も高くなります。

つまり、こういった事態に陥ってしまったら、元も子もありませんよということ。どんなに腎臓寿命を延ばせたとしても、たとえ腎臓寿命が尽きた後に透析によって先の人生へコマを進められたとしても、「動く機能」や「食べる機能」をガクンと落としてしまったら、すべて水の泡になってしまうわけです。

そして、だからこそあまり歳をとらないうちに「動く機能」や「食べる機能」の「地力」をしっかりつけておく必要があるのです。できれば、80代になる前、60代や70代のうちに腎臓リハビリの運動療法や食事療法をがんばっておいて、「いつも通りに動いたり、いつも通りに食べたりするための力」を底上げしておきたいところです。その「地力の貯金」がどれくらい残っているかが、80代、90代を健やかに生きていく「いちばんの決め手」になるのではないでしょうか。

上月 正博 東北大学名誉教授、山形県立保健医療大学理事長・学長

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